2016年11月16日水曜日

現場の思い

横浜市内とはいえ、まだまだ周りには畑が残るのどかな丘陵地にそのホームはあります。
ベテランの女性施設長を中心に、スタッフたちのチームワークの良さが評判で、
いつ訪ねても穏やかな空気に包まれています。
看護師さんの経験値が高く、かかりつけのお医者様との連携もとっても密で、大切なひとを
安心して預けることができます。

しかし、どんなに素晴らしいホームがあったとしても、それが自宅のすぐ近くだったとしても、
それでも、本当にそれでいいのか、そこでいいのか、家族は迷います。

残暑厳しい9月の初旬に初めてお会いした家族もそうでした。

お父様の命が、あと1年もつかどうかという状態で、病院のままなのか、自宅なのか、
それともホームなのか、仕事と家庭のある娘様たちは、とても悩んでいました。
私にも正解はわかりません。
ただ、このホームでの生活を選んだなら、こんな時間を過ごすことができますよ、
とお伝えするだけです。どこのホームでも叶うわけではなく、このホームだから生まれる
価値があります、と。

ご家族は悩んだ末に、ホーム入居を選択しました。
医療的な引継ぎも含め、およそ1か月の準備期間を経てホームは迎えてくれました。
それからわずか20日後に、お父様は逝ってしまわれたのです。

たったの3週間です。

もしかしたら、病院のままなら、もう少し生きられたかもしれない。
余計な話をしなければよかったのでは、と自分自身に後悔もあります。

正解はどうだったのでしょうか。
ご家族の声を直接聞くことはまだできていません。

訃報を届けてくれた施設長の言葉が救いでした。

「とても心優しいご家族でした、ご本人も娘様方の心配をする位で、最期のお手伝いを
させていただいたことに感謝します」と。

現場は大変だったと思います。受け入れの準備に相当な時間を費やし、
手間をかけたにもかかわらず、早々に亡くなってしまったわけですから。

尊い仕事だと、あらためて感じました。

施設にいた頃は、やはり何人もの方々をお見送りさせていただきました。
その度に辛い気持ちになりつつも、ご家族の感謝の言葉が、すべてを前向きに
してくれました。

長い人生の最期を、最高の瞬間にすることができる、尊い仕事だとおもいます。

そんな心の通ったホームがもっともっと増えて欲しい、そしてそれを必要とする
人たちにしっかり伝えていくのが自分の使命です。

現場から立ち位置は変わりましたが、介護への熱い思いは変わりません。

優しい気持ちで、一生懸命お世話していただいている現場の方々に、心から
感謝です。


                                         横浜相談室 
                                              小松