2019年8月13日火曜日

よかった、無事で。


思いがけず仕事に集中してしまい、帰りが遅くなってしまった夜のこと。

自宅近くまで来た時に、道端で屈みこんでいる高齢の女性に気が付きました。
シルバーカーを道端にとめて、かがみこんで何かを探していらっしゃる様子です。
「こんばんは、何かお困りですか、お手伝いしましょう。」
と、声をかけました。
女性は振り返りながら「えぇ、このクルマがね、どうしても右へ右へ曲がってしまってね、なかなか家に帰れないんですよ。そしてこの子がね、疲れただろうからクルマに座らせてあげようと思うんだけど上手に座れないのよ、困ったわ。」
クルマというのは手押し車、シルバーカーのことで、この子というのは抱っこなさっているぬいぐるみのことのようです。
これは大変だ。認知症高齢者の深夜の徘徊かもしれない!
と、認知症サポーターの端くれである私は緊張しました。(23時を過ぎていました)
「それはお困りですね、では私がこのクルマを一緒に押しますよ、よろしかったらご自宅までご一緒させてください。」
女性ははじめは遠慮なさいましたが、ご自宅を伺うとなんと私と同じマンションにお住まいと分かり、安心してくださいました。
「ではお願いしますね助かります」とおっしゃって表情が柔らかくなりました。
「この子はクルマの中に入れてあげましょうか、ガタガタして落ちてしまうといけないから。」
と申しましたら「それはそうね、座らせるより安定するわね。」とおっしゃる。
マンションのエントランスまで100メートルもなかったのですが、それはそれは時間がかかりました。
おひとりでシルバーカー(ちょっと車輪が不具合)を押しながら、可愛がっているぬいぐるみを抱っこしていてはもっともっと時間がかかったことでしょう。
それより、いったいどこに行って帰ってくるところだったのか気になりました。
ご自宅まで無事にお送りしましたら「お茶でも上がっていってくださいな。」とおっしゃるので、お言葉に甘えさせていただきました。
お独り暮らしと分かって心配でもありました。
小一時間ほどお話を伺ったでしょうか。とてもしっかりしたお話しぶりですが、なんとご自宅を出られてから4時間が経過していたことがわかりました。
立ち寄り先は私なら徒歩5分ほどのところにあるコンビニでした。
お風呂上りに、ちょっと外の空気をこの子(お子さんがないのでとても可愛がっていらっしゃるぬいぐるみさんでお名前もありました。)に吸わせてあげようと思って散歩に出たのよ、とおっしゃる。
シルバーカーの不都合でなかなか思うように進めず、とてもお疲れに違いありません。
おいとまする時にもやはり心配で、今夜はお風呂はやめてシャワーでさっぱりして寝てくださいねー、と申し上げました。
はい、そうするわ、恩人に言われたらそうするしかないわね、と笑顔でおっしゃっていました。

翌日、私の留守中にその方が自宅に見えたそうです。
自宅にいた息子が「最上階の●●さんが、あなたのお母さんに助けていただいたのよ、とお菓子を持ってご挨拶に見えたよ。」というのでびっくり&とても安心しました。
見過ごさなくてよかった。お声掛けしてよかった。
私を信頼してくださってよかった。
信頼していただけてよかった。
なにより、ご無事でよかった。

埼玉ロイヤル サ高住ユニット 落合ひとみ